Poprod Mk-2

Poprod Mk-1 (1988年製作)

1988年3月。当時のおおらかなタミヤGP規定に沿って作った自作マシン。

ピッチとロールを別系統で制御するオリジナルメカ、「ERS」を盛り込んだFFバギーです。

タミヤ戦出場は雑誌社の企画を兼ねており、分かりやすいペットネームが必要だったので

POPROD(ポップロッド)と命名。ボディは編集部で余っていたサンプルのウインガーを頂き

故・栗原さんが経営されてた小平のプロトに泊り込んで徹夜の作業。

製作期間僅か3日という超急造マシンを引っさげてタミヤサーキットに直行。

まさに実戦シェイクダウンとなるデビューレースでポールポジションを獲得。

ミスによって優勝は逃しましたがベストラップ13秒台という

タミヤオフロードサーキットにおける当時の4WDマシンと互角のタイムを記録しています。

−ちなみにこの時の優勝者はJOYBOXさん(ワイルドワン)だったそうです。世の中は狭いですね(笑)―

そして2戦目となる1988年4月3日、第7回タミヤRCカーグランプリテレビ東京杯チャンピオン大会。

デビューレースでの決勝タイムで、2位ながら出場権を得た僕は

テレビ東京役員の「なんだそれは?なんかガラクタみたいだな。」の一言に奮い立ち、

意地で?スーパーストック2WDクラス優勝を勝ち取りました。

余談になりますが、通常チャンピオンマシンはリザルト発表のバックで大写しになり

エンディングでもその走りがスローモーションで流れるのですが

一切カットされていました。優勝車の扱いとしては異例中の異例でしょう(笑)。

しかし僕はこの結果がとても嬉しかったので、全面改良型の構想を練り

雑誌での紹介記事でその年の5月までに「Mk-2」を作ると公約しますが

某メーカーさんのサポートを受けることになり、RC-10での全日本出場が決まるに及んで

果たされぬままシーズンが終わりました。そしてさらに何年かが過ぎ、

FFは2輪駆動クラスから締め出されサーキットでの存在意義をなくしていきます。

じっくり取り組みたかった「Mk-2」、やり残した後悔はずっと心の中にありましたが

登るべき舞台もすでになく、いつの間にか10年余りが経ってしまいました。

ところが、一昨年4独グラスホッパー製作がひと段落した頃、関西のUBさんをはじめ

ネットで知り合った方々の何人かが自作マシンPOPRODの事を憶えていてくださっているのを知り、

さらに奇しくもオークションで新品のウインガーボディを発見し、無事落札。

あひるミーティングという舞台もあり気持ちは再燃。今年に入り本格的に製作に取り掛かりました。

まずは設計です。まずは旧車イベントに出るマシンですから

サンダーショットのサス周りとデフギアの使用が大前提でした。

のちのちバージョンアップできるよう、基本骨格はしっかりさせておきたいところ。

ロア2.7ミリアッパー2.2ミリのフルWデッキとしました。


サンダーショットの巨大なデフギアを収めるためのギアボックス。

当時と同じく自作で作ることにしました。

ギア類は当時はオープンで走らせていましたが

それはさすがにあんまりなので密閉式としました。

中央のシェルは同形状で6ミリ板2枚・8ミリ板1枚を切り出し

メチレンクロライドで溶着してあります。

一次のケースも積層で製作しました。

仮組み状態のギアボックス。カーボンでサンドイッチし、モノコック構造を形作ります。

左右のプレートはサスアームピボットが付く重要な応力部材なので、

姫路のおやびんさんに譲っていただいた2.5ミリ特製ドライカーボン

(凄く硬く強靭で加工が大変)を使用しています。

ショックタワーとメインシャーシ接合部などにかかる

応力を分散するため、複数のパーツを組み木のように接合しています。(・ω・)ノ

ダンパーステーはBIGWAVE製2.7ミリ。繊維方向を考えてカットしています。

フロントのみが駆動するFFなので

スキッド角は少なめに設定して、駆動力による姿勢変化を極力押さえています。

ギャップの走破性は落ちますが、コーナーリングの癖を減らすための策です。

初代とモーター搭載方向をそろえたかったのですが、

この向きで正回転だとモータートルクによる悪影響が出そうだったので

あえて4枚のギアによる逆回転仕様としています。

ギアダウンにはTA03のギア周りを使用してコンパクトにまとめてみました。

各ギア間の寸法設定と軸位置の加工精度には、かつてないくらい気を使いました。


ギアボックスとメインシャシ・アッパーデッキのカーボンパーツ相互が

応力を分散して受ける構造としました。

サーボの部分を切り欠かねばならないため、サイドブレースが入ります。

ブレースとメインシャーシ・アッパーデッキは強固に固定しています。

リアバルクヘッドはシャシがねじれたりネジ部に応力が集中しないよう、

上下のシャーシを抱え込むような強固な固定方法をとっています。

とにかく狂いにくいこと・破壊しにくいことを最重要課題にしました。

はっきりいってこの足回りにはオーバークオリティなくらいです。


完成後のスナップに続きます